コンシューマブルで民主化されたデータが工場の運用を改善する9つの方法

スマートマニュファクチャリングの原則に対するメーカー各社の注目はますます高まり、同期された正確さで製造現場を高度に効率的でデータ駆動型の運用に変えることが望まれています。残念ながら、製造現場のヒーローである事業部門管理者、クルーリーダー、シフトスーパーバイザーは、多くの場合、ERPシステムや生産を順調に進めるために必要な関連データへの容易なアクセスを欠いています。

デスクレスワーカーは、運用効率に重要な役割を果たします。データの民主化、つまりよりより多くの者にとってデータをコンシューマブルにすることで、それら最前線のユーザーたちが意思決定に益する貴重なインサイトを得ることができます。役割に応じたダッシュボードやレポーティングツールにより、資源の有効活用から手直しやスクラップの削減まで、生産ラインの上流から下流までパフォーマンスの向上を促進することができます。

製造現場では、あらゆるシフトで数え切れないほどの重要な意思決定が行われています。騒がしく、動きの速いこの厳しい環境では、影響についてじっくりと考えることはできません。動きの速い生産ラインには、迅速な意思決定と応急な対応が必要です。同時に、エラーは収益性を損ない、リソースを浪費し、約束の納期を危険にさらすなど、大きな損失をもたらす可能性をはらみます。推測や偶然の例外、逸話に基づく判断は、チームを無駄な時間のスパイラルに陥れ、従業員や管理者の両者に苛立ちをもたらします。

最前線のユーザーの力を引き出す

その答えは、レポート作成や人工知能（AI）アルゴリズム適用のスキルを持つ高度なデータアナリストでなくても、組織内のすべての意思決定者がデータを手にすることができるようにすることです。最新のデジタルプラットフォームは、ユーザーが日常の状況に高度な機能を適用するためのインターフェイスツールを提供します。ローコードおよびノーコード機能を特徴とするこのデジタルプラットフォームは、関連する重要業績評価指標（KPI）を追跡する役割ベースのダッシュボードや、新たな傾向を調査するカスタムレポート機能を最前線のユーザーに提供します。機械オペレーター、メンテナンス技術者、マテリアルハンドリングエンジニア、スケジュール担当者、シフトリーダーが、ダイナミックなインサイトを迅速に得ることができます。

データが速度と精度を高める

業務レベルのデータへのアクセスは、ワークフローのギャップや回避可能な遅延を防ぐ上で特に役立ちます。最前線の作業者達は、カスタムワークオーダーで設計上の質問や仕様について即座に回答することができます。情報へのアクセスは、疑問や部門間の断絶、在庫切れなどによる生産ラインの中断を最小限に抑え、生産ラインを計画通りに稼働させます。

高度なデータ分析により、製造現場を円滑かつ収益性の高い形で運営し続けることができます。管理者は例外を掘り下げ、影響をおよぼす変数を追跡することができます。品質の障害となるものの排除やダウンタイムの管理など、改善の機会を見出すことができます。

実用的なアプリケーション

人工知能（AI）や機械学習（ML）が主流になるにつれ、メーカー各社はデータインサイトの実用化を求めるようになっています。概念実証のプロジェクトは、タイムリーで測定可能な投資利益率を約束するプロジェクトに取って代わられています。製造現場には、AIを活用したインサイトが数多く実用化されています。ルーティンワークを自動化することで、人の手を介する必要性を削減します。スーパーバイザーに連絡し、個別に対応する必要があるのは、異常や例外が発生した場合のみになります。データフローを効率化することで、さまざまなチームがリアルタイムに最新情報やニーズを把握することにも役立ちます。誰も情報の輪から外れることなく、進化する期待に遅れをとることはなくなります。データドリブンなデジタルの1本の糸が、製造現場の業務のあらゆる段階を結び付けます。

民主化されたデータがどのように生産性を高めるかを示す9つの例を以下に示します。

1. カスタムの見積もりと部品表。受注生産品、技術者派遣品、構成品を効率的に管理するには、ルールに基づいて見積書を作成し、部品表を照合する自動化システムが必要です。顧客が注文を承認した後は、正しい寸法、機能、仕上げが適用されるように、営業から業務へと仕様が流れていかなければなりません。顧客注文書にアクセスすることで管理者が詳細を確認でき、手直しや顧客の返品をなくすことができます。
2. 必要な原材料の予測。生産計画と原材料の入手を同期させるには、データへのアクセスとAIによる予測機能で在庫切れを防ぐ必要があります。データは、調達担当者が倉庫に必要な部品を在庫しているかどうかを確認するのに役立ちます。過剰な在庫は資本を拘束し、老朽化する危険性があります。
3. 正確なスケジューリング。顧客からの注文を満たすために生産を同期させるには、正確なアカウントデータだけでなく、売上、納期約束、原材料の在庫、機械の能力などが必要です。共同製造者や下請け業者と協働する場合にも、情報へのアクセスは必要です。コラボレーションポータルは、セキュリティを保護しながら情報を共有するのに役立ちます。
4. 労働力の戦略的スケジューリング。データインサイトにより、管理者はシフトやクルーのパフォーマンスを追跡および理解し、必要な人員配置を特定し、経費を追跡することができます。深刻な人手不足にメーカーが直面している現在、適切なスキルを持つ労働者を慎重にスケジューリングすることが特に重要です。
5. ワークフロー。ギャップ、遅延、障害を排して業務を円滑に進めるには、チーム間の連携や作業状況、機器のパフォーマンス、スケジュールに関するデータの共有が必要です。報告は傾向の特定や変数の分析に役立ち、管理者は改善可能な影響力のある要因をより深く掘り下げることができます。意思決定を行い、変更を実行し、結果をモニターし、さらに改良を加えることができます。継続的な改善を、システムと標準化されたワークフローの一部とすることができます。
6. コンプライアンスと品質管理。管理者は継続的なフィードバックループを確立し、品質基準を追跡し、監視し、評価する必要があります。新製品の導入に従い、仕様書は容易に更新でき、関連するチームからも容易にアクセスできる必要があります。また多くの業界では規制の遵守も重要であり、正確な報告が求められています。データへのアクセスを民主化することで、最も必要なときに最も必要な場所で詳細を確認することができます。
7. 廃棄物の削減。持続可能な社会を目指すメーカーにとって、エネルギー、水、原材料などの廃棄物の削減は最優先の課題になります。スクラップの削減は不可欠です。一貫性と品質管理を改善することで、廃棄または手直しが必要なユニット数を削減できます。データへのアクセスは、クルーが適切な機械設定を確認し、問題の一般的な解決策についてナレッジバンクを参照し、適切な仕様と変数を確認するのに役立ちます。
8. コールセンター。アフターマーケットサービス業務では、納品、サービス契約、保証状況、定期予防メンテナンスに関する顧客の質問に答えるために、アカウントと製品の詳細情報にリアルタイムでアクセスする必要があります。サービス派遣は、地理的条件、サービス水準合意書、緊急性などに基づいて、技術者の位置と可用性にアクセスし、適切な人材を適切な業務に派遣する必要があります。
9. 初回コールでの解決。現場の技術者は、ユニットの詳細、サービス履歴、部品の在庫状況、交換機やアップグレードユニットの入手状況などにリモートでアクセスする必要があります。適切なデータを持つ技術者は信頼できるアドバイザーとみなされ、現場で売上を上げることができる場合が多くなります。

次のステップ

初めてのERPソリューションの導入やレガシーソリューションのアップグレードを検討しているメーカーは、多くの場合、さまざまなベンダーとそのソリューションの機能を比較検討します。見落とされがちになるのが、システムの使い勝手と、組織全体の従業員がデータにどれだけアクセスできるかという点です。なかには、面倒で使いづらいERPソリューションを提供するベンダーもあります。これは、多くの機能がまったく使用されないことを意味します。

一方、業界特有の機能を内蔵し、ユーザビリティを最優先するソリューションもあります。ERPの賢い選択において、データへの容易なアクセスは必須かつ求めるべき特性です。

Infor OS®の詳細と、デジタルオペレーションプラットフォームが作業現場のユーザーのデータアクセスを可能にする方法についてご覧ください。