実は私は京都の農家の出身で、家族が食べるコメや野菜を自前で作っていました。ほんの数世代前までは、ほとんどの人が裏庭で野菜を収穫し、肉は地元の農場から購入していました。これにより、ある意味、簡単で直接的なトレーサビリティが確保されていました。食材への信頼が不可欠だったのです。
しかし、食品の加工技術が格段に上がり、サプライチェーンが拡大しました。最近読んだ書籍「食品産業の未来 ネスレの挑戦」は、その歴史を学ぶよい機会でした。その結果、食品コストが下がり、食材や既製品へのアクセスが容易になったことで、手間のかかる家庭菜園は一般的ではなくなり、食品・飲料メーカーがほとんどの人々のニーズを満たすようになりました。素晴らしいことです。
目次
- 食品情報の透明性の要求、食品安全規制の強化
- 現代の消費者ニーズを満たす食品トレーサビリティとは?
- 食品リコールに備える
- 持続可能性におけるテクノロジーの役割
食品情報の透明性の要求、食品安全規制の強化
今日の食品製造では、製品情報と安全規制がより大きな役割を果たしています。この10年で、砂糖を使わない飲料や、塩分を控えた調理済み食品など、より健康的な大量生産食品を導入するための無数の取り組みが行われてきました。CO2の排出抑制のため、人工の食肉の可能性が探られています。牛のゲップでCO2排出が問題になるとは、私も考えてもいませんでした。
多くの国の規制当局は、これらの変化を強制する法律を制定しました。FDA、EU、および各国の法律は、特に分量、カロリー、一日当たりの価値の割合、添加糖などに関して、製品表示の透明性を高めています。
以前は、製品ラベルの情報を作成することは簡単でした。サプライヤーが仕様書を提出し、食品加工業者が栄養価を計算し、製品パッケージに印刷する必要のあるアレルギー源をリストアップしていました。サプライヤーを変更しなければ、簡単にできました。
しかし、現在は大きく異なってきています。今や環境志向や健康志向の消費者は、食品の原産地や内容物だけでなく、その食品がどのように生産されたかについて、より多くの情報を求めています。どこの国から来たのか?どこの農場で作られたものなのか?その農場では農薬や抗生物質を使っているのか?その生産はどのくらい持続可能なのか?
現代の消費者ニーズを満たす食品トレーサビリティとは?
Nielsen社の調査によると、オーガニック製品の売上は2桁の伸びを示し、その中でも持続可能な農業に由来する製品の売上が最も高いことが明らかになっています。一方で、「ナチュラル」を前面に打ち出したパッケージのような宣伝文句を信じている消費者は、ごくわずかです。消費者の信頼を得るためには、オーガニック製品の主張を裏付ける証拠を提示することが必要です。
その好例が、アトランティックサーモンの世界最大の生産者が、魚の産地や養殖についての詳細を消費者と共有していることです。消費者は、QRコードを読み取ることで、養殖場から手元のパッケージに至るまでの全容を知ることができます。同じように見える多くの食品にとって、差別化してブランドを強化するには、これしかありません。
すべての消費者が、原産地が透明な食品に価格プレミアムを支払うことを望んでいるわけでも、余裕があるわけでもありません。しかし、エコロジカル・フットプリントがより重要になるにつれ、より多くの消費者、小売業者、規制当局がより高い透明性を求めるようになるでしょう。
食品リコールに備える
製品の原産地に関する消費者の要求を満たすだけでなく、トレーサビリティは、食品安全上のリコールという不幸な出来事が発生した場合に、食品・飲料メーカーが迅速に行動するのに役立ちます。2015年から2019年にかけて、米国では年間120件以上の食品リコールが発生しています(2020年のデータは未発表)。今年8月に北米の食品・飲料メーカーを襲った直近の食品リコールでは、サルモネラ菌が混入している可能性があるとして、約60,000ポンドの冷凍チキン製品が回収されました。影響を受けた可能性のある消費者を迅速に特定することは、迅速な復旧のために最も重要です。今の日本はこのような問題になることはめったにありませんが、日本からの食品の輸出が拡大している中、他国のことと無視することはできません。
このような不幸な出来事に直面した食品・飲料メーカーは、リコールされた製品を特定の製造施設や製造ロットにまで遡って追跡し、どの小売店や消費者市場に影響を与えたかを判断しなければなりません。多くの消費者が必要なものを食品・飲料メーカーに頼っている現在、適切なテクノロジーを導入することで、安全性を確保しながら無駄を省くことができます。また、ブランド認知度や顧客ロイヤルティの向上にもつながり、これらは企業の成長やサステナビリティへの取り組みの鍵となります。
持続可能性におけるテクノロジーの役割
この取り組みを完全に達成するためには、食品・飲料メーカーは、トレーサビリティ機能を工場の壁を越えて、川上から農家、川下から消費者にまで拡大して管理する必要があります。農場から食卓までのサプライチェーンの点と点をつなぐには、データ交換、コンプライアンス、サプライチェーンの透明性を合理化するデジタルプラットフォームが必要です。例えば、工場での加工と収穫の量、質、時間を同期させることで、食品生産者はサプライチェーンと生産をより適切に管理することができます。
すべての点がつながれば、より迅速なトレーサビリティ機能が得られ、消費者への透明性が高まるだけでなく、食品の安全性の向上、廃棄物の削減、そして地球へのより良い供給に必要なデータを収集することができます。
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