3回にわたるブログ対談にて、ワタミ株式会社のIT戦略本部 部長 高井 直之氏に、インフォアジャパン プロフェッショナルサービス コンサルティングプラクティス マネージャーの石川 光幸が、SCMプロジェクト成功の秘訣について、お話を伺います(以下敬称略)。第2回は、ベンダーマネージメントについてです。
石川:前回は、マスターデータ管理、コード体系、データ移行など、データリエンジニアリングの視点でお話を伺いました。今回は、複数のベンダーさんをどのようにマネージメントしたか、「ベンダーマネージメント」についてお話をお伺いしたいと思います。
前回少し触れましたが、このSCMプロジェクトには、インフォアを含めて4社のベンダーが関与していました。マルチベンダーマネージメントはコンサルティングファームに依頼する企業も多いのですが、高井さんは、この4社ととても自然にコラボレーションし、またうまく管理されていましたと思います。その秘訣やコツはありますか?
高井:あまり意識したことはないのですが、我々のようなユーザから考えると、インプットがあり、欲しいアウトプットがあって、その間にシステムがあるわけです。よってベンダーさんに、我々がやりたいことは「こう」なんです、しかしこちらのシステムは「こう」ですよね、他のベンダーさんは「こう」なんです、と状況や情報を共有し、一緒に考えることで、ベンダーさんが自主的に問題提議をしてくれていました。
石川:そうでした!ベンダーさんが非常に積極的で、丸投げ・やらされ感が全くなく、これこそONE TEAMだと感じていました。
高井:やっぱり一緒に仕事する上で、気持ちよく仕事して欲しいと思っていました。よって、一緒に目標を達成するためにも、情報を共有することで、協力体制が担保できたのだと思います。その結果、マルチベンダー管理が自然とうまく成り立ったのだと思います。
石川:ベンダーの現場の担当者レベルだけではなく、担当者の上司の方も来られて、とても協力的でしたよね。これは担当者が働きやすい環境を作っていたということにも繋がっていたと思います。
高井:確かに上司の方は意識して対応していました。現場の人からすると、その上の上司に状況が共有されていれば、現場だけで判断するのではなく、協力を得やすいですし、物事が進めやすくなると思ったのです。だから、ベンダーさんの上司の方も含めてやり取りさせていただいておりましたし、とても仲良くさせていただいていました。
石川:なるほど。ベンダーの上司は問題があった時だけ呼ばれるものだと思われがちですが、それでは後手ですよね。そうではなく先手を取って、上司の方も巻き込むことによって、判断にスピード感が出たわけですね。では、インフォアというベンダーに関してですが、「インフォアのやり方、インフォア流」があったかと思います。それについてどのように感じられましたでしょうか?
高井:プロジェクト開始にスタートアッププログラムという説明会があって、そこでプロジェクトで重要なことを「12の成功要因」として20時間かけてしっかりと学べたことが大きかったです。成功する要因を理解する点、主人公はIT部門ではなくユーザ部門である点、マイルストーンが明確で振り返る資料(スタートアッププログラムの150ページにわたる資料)があるということが、特に良かったです。最初から詳細を決めるのではなくまずはスタートし、プロジェクトですから個々のタスクが遅れることはありましたが、とにかく次のマイルストーンまで到達することに集中しましたね。
石川:確かに、ワタミ様のメンバーは皆さん誠実に「12の成功要因」を守られていましたね。特に「One Team, One Fight (チーム一丸となって 1つの目標を達成)」というプロジェクト文化」にある、「ビジョンの共有」、「全員を関与させる」、「成功を称賛する」、「(互いを)信頼、尊敬、支援」のところは多くの場面で実践されたことが印象的でした。
ところで、当社は、パッケージの特性を最大限に発揮するためにもアジャイル手法を取っていますが、他のベンダーさんはウォーターフォール型でしたよね。アジャイル型の進め方とウォーターフォール型の進め方でなかなか合わないところがあったと思うのですが、そういった点での取り組みはどうでしたか?
高井:そこが一番苦労したところかもしれませんね。とにかく話すこと、かと言って、マイクロマネージメントでもない。
石川:それでは、ぜひその辺のお話を次回お話いただければと思います。本日もありがとうございました。
ワタミ株式会社
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