VUCA時代の予測分析パワー

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February 15, 2021担当 北川 裕康


予測分析が注目されています。英語ではPredictive Analytics。売上予測、在庫予測、マネーロンダリングの不正検知、ホテルの客室稼働率の予測、犯罪場所の予測など、様々な予測分野があります。過去のデータから未来を予測するのです。実は、予測分析の歴史は古く、現在の機械学習ブーム以前から利用されていました。コンピューティングパワーが増し、ビッグデータが扱えるようになり、機械学習が発達して、かつ使いやすいツールが揃ってきた現在、ビジネス現場での予測分析の利用がより進んできています。

今回は、予測分析の中でも、時系列分析、Forecastについて、取り上げたいと思います。Microsoft社のExcelにも、Forecast関数がありますね。時系列分析とは、時間の経過に伴い変化するデータを分析することで、この時の経過とともに観察されたデータのことを時系列データと呼びます。時系列データは、例えば、コンビニの毎日の売上、製品の需要、在庫量などで、時間と共に変化していきます。この時系列データの未来を計算するのです。

時系列分析は、欧米では比較的よく使われてきているテクニックですが、日本では中々根付きませんでした。それは予測の仕方が違うのが1つの原因です。日本では現場力が高く、人がデータを見ながら予測を当てに行きます。かなりの精度で予測しますので、時系列分析を入れて後どれだけ精度が上がるのだという話になります。絞った雑巾からさらに水を絞り出すようなものです。結局、ROIが見えないという話になります。一方で欧米では現場力だけに頼るのではなく、時系列分析の結果を基準に人間が上下を判断する方法を取るのです。職場での人の流動性が高いというのも理由だと思います。

当たれば、どちらでもいいかも知れません。しかし、現在は、VUCA(ブーカ)とは呼ばれる環境で、経営を行う必要があります。VUCAは、Volatility(変動性・不安定さ)、Uncertainty(不確実性・不確定さ)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性・不明確さ)という4つのキーワードの頭文字から取った言葉です。いかにも不安定、不確実かだと分かる言葉ですよね。VUCAの環境では、先の見通しを人間が予測しにくい世界です。また、少子高齢化、人口減の影響は大きくなり、いつまでも現場力だけに頼るわけにはいきません。予測が外れれば、生産計画に狂いが生じ、また、在庫コストや廃棄ロスなどに繋がります。

機械学習+人の判断で、在庫、売上などの時系列データの予測精度を上げることは有効だと思います。そのためにどのように戦略的に時系列データを取得するかは重要なことで、Analyticsが考慮された近代のERPは有効に機能すると思います。

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