スエズ運河の重要な区間でコンテナ船「Ever Given」が3月23日に座礁事故を起こしたことが話題となっています。
貨物船は、到着の遅れや貨物に影響を及ぼす問題にしばしば遭遇します。原因の多くは天候と荒海で、例として、今年の1月21日にはA.P. モラー・マースクが運航するコンテナ船が750個のコンテナを失いました。
しかし、今回事故に遭った「Ever Given」は状況が大きく異なります。貨物はすべて無傷のままですが、船がスエズ運河の非常に狭い区間で座礁したため、他の貨物船がこの重要な海上貿易ルートを通って南北へ航行することが一切できなくなっています。
もしあなたの会社が「Ever Given」にコンテナを積んでいたとしたら、現在事故を知り、貨物輸送の大幅な遅延に対処する計画を立てていることでしょう。
しかし、現在、封鎖された区間の上下で足止めされている船や、運河の最も狭い区間の外に集まって滞留している船はどういった状況で、どれくらいの遅れが見込まれるのでしょうか。
加えて、運河通航の足止めで遅延している多数の船が一挙に動き出し、何十万TEUに上る輸入品を載せて一斉に港に到着したら、普段から混雑しているヨーロッパの港にはどのような影響が及ぼされるのでしょうか。
インフォアのグローバルコーマースネットワーク「Infor Nexus」で、グローバルな貨物輸送を管理している場合、現在運河内に位置しているコンテナ船、または入る途中のコンテナ船でリスクにさらされている注文品や特定の商品の範囲を知ることができます。さらに、サプライチェーンの可視化によって、まだ出港していない注文品や船を把握できるため、一部の商品を陸路のシルクロード鉄道でアジアからヨーロッパに運ぶように変更したり、航空貨物による緊急輸送を計画したりする余地があります。
Infor Nexusでは、注文を中心としたオペレーションが可視化されているため、輸送遅延の可能性について、社内外を問わずお客様に事前に通知することができます。また、お客様と協力することで、事業の中断を回避し、売上の損失を最小限に抑えるための最適なソリューションを見つけることが可能です。
2017年にも、スエズ運河では日本のコンテナ船が機械トラブルで座礁し、今回と同じく操船不能となった船によって航路がふさがれました。このときは、事故発生から数時間以内に無事に離礁し、運河通航の混雑は解消されました。
先週の火曜日に「Ever Given」が座礁してから、前回と同様の対処が試みられましたが、乗組員が満潮の時期に作業が行えるようにするため中断しなければいけませんでした。
もし満潮の利用や船の下の土砂の浚渫によりタグボートが座礁した船を航路に戻すことができない場合、次の段階の対応として、現在船が浮いている水位を上げるために、コンテナ、あるいは燃料や底荷を下ろさなければなりません。
その場合、数日間ですでに世界の貿易に深刻な影響を及ぼしている運河の封鎖状態が、解決されるまでさらに最大2週間かかる可能性があります。
海運会社には、スエズ運河を経由するルートを避け、地中海や北欧の寄航港に向かうためにアフリカ南端の喜望峰を迂回するという選択肢もあります。しかし、この代替ルートでは、通常のスエズ運河経由ルートよりも輸送時間が約19日間程度延びます。運河の封鎖状態が5日間以内に解消されない場合、多くの船舶運航会社がアフリカ南部の代替ルートを真剣に検討し始めるでしょう。
今後4~6週間、コンテナ貨物を待っているヨーロッパの輸入業者は、こういった代替ルートによる輸送時間の大幅な延長を考慮して、在庫計画、製品スケジュール、および店舗補充サイクルを組まなければいけません。輸送時間がサービス時間の計画よりも変動することは珍しくないため、3~5日であれば物流チームが海上輸送計画に組み込んでいる「スラック」またはバッファ時間として対応できますが、在庫のリードタイムが2週間以上延長となると、はるかに深刻な影響が出ます。
遅延、特例、さらに災害は、フォワーダーや3PLを含むグローバルな物流組織が日常業務の中で定期的に取り組まなければならない問題です。今回のスエズ運河の封鎖状態は、広範囲にわたる海上交通と商業貿易への影響を及ぼしており、解決にどのくらいの時間がかかるのか不確実なために代替ルートの決定が遅れ、コンテナ貨物の国際的な流通が停滞し、サプライチェーンの不安とフラストレーションを悪化させています。
※当ブログは、2021年3月26日に米Inforが公開したブログの抄訳をベースにしています。
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