21世紀の自動車サプライチェーンを創る~妥協しない品質と安全性をコラボレーションで浸透させる

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June 14, 2021担当 北川 裕康


自動車製造における品質の要求は常にテーマです。事故があった場合の人体の保護、安全装置による事故の軽減など、いつの時代も、人の命に関係する産業であるが故、品質と安全は最高位のテーマです。その品質において、ISO規格は20年以上にわたって自動車業界の重要な推進力となってきました。BSIグループは、ISO/TS 16949を「自動車業界において世界的に認められた品質マネジメント規格」と定義し、「自動車のサプライチェーンにおける製品の設計および製造に関して、ベストプラクティスを達成するためのフレームワークである」と述べています。

そして、ISO/TS 16949に替わる自動車産業の新しい品質マネジメントシステム規格として、IATFは2016年10月にIATF 16949:2016 を発行致しました。IATF 16949は自動車産業に特化した品質マネジメントシステムに関する国際規格です。国内、そして、世界の多くの自動車メーカーが、自動車部品のグローバルな調達基準として採用しています。

これらの規格は、国際的な取引をスムーズにするために、何らかの製品やサービスに関して「世界中で同じ品質、同じレベルのものを提供できるようにしましょう」という国際的な基準であり、自動車業界全体での品質向上に貢献しています。

サプライチェーンのグローバル化に伴い複雑さが増す中、品質と安全性を最優先するための強力な品質プロセスとリスク管理の必要性が高まっています。この複雑さは、信頼できるグローバルなサプライネットワークを構築し、強力なテストとQAを製造プロセスに統合し、明確なリスク管理システムを導入することの重要性を強めています。歴史的に見ても、品質管理上の問題からリコールが発生した場合、自動車メーカーの財務状況やブランド価値に壊滅的な影響を与える可能性があります。

その一例として、トヨタ自動車が2009年から2011年にかけて行ったアクセルペダルの欠陥による400万台のリコールが挙げられます。このリコールは、積極的な海外生産の結果、サプライヤーの数が増えたことが直接の原因でした。トヨタが深く関わっていない新しいサプライヤーを導入したことで、品質管理上の問題が発生し、数十億ドルの損害を被ったのです。

最近の例では、フォルクスワーゲンの排気ガススキャンダルがあります。このスキャンダルでは、すべてのターボディーゼル車のリコールが必要となり、役員が実刑判決を受けました。数十億ドルに上る有形のコストに加えて、フォルクスワーゲンのブランドは深刻なダメージを受け、消費者の信頼を大きく失ってしまいました。

最近では、CASEのトレンドによる自動車のIT化によって、ソフトウェアの品質がクローズアップされるようになってきました。私の自家用車は、自動的にソフトウェアのアップデートがされ、まるでiPhoneのようです。

自動車のサプライチェーンの複雑さに加えて、革新的な機能への要求が新たな品質保証プロセスとテストシナリオを生み出すため、品質がより大きな課題となっています。しかし、効果的なコラボレーションツールを導入することで、メーカーは複雑なサプライネットワーク全体にプロセス要件を拡張し、品質保証アプリケーションの使用を強制することができ、品質管理者はプロセスのデジタル化、監査タイプの標準化、潜在的な問題の迅速な特定、パフォーマンスデータの即時分析が可能になります。

繰り返しになりますが、強力なサプライヤー要件と、リスク、コスト、共同イノベーションを管理するスコアカードなどの評価ツールの導入が重要です。さらに、自動車メーカーは、APQP、MMOG、リビジョンコントロール、品質管理システム(QMS)など、広く採用されている品質テスト基準を活用して、サプライヤーが最高水準のパフォーマンスを発揮していることを確認し続けており、サプライヤーの品質は、競争上の優位性を高めるための戦略的な手段として浮上しています。

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