製造実行システム (MES) の概要と検討すべき理由

ERP (エンタープライズリソースプランニング) は組織全体で使用されるビジネス管理ツールですが、製造実行システム (MES) ソフトウェアは工場環境での使用に特化して設計されており、原材料から半完成品や完成品までの製造プロセス全体を調整、追跡、記録、監視できます。 

MES はエンタープライズリソースプランニング (ERP) とプロセス制御システムの間の中間層として位置付けられるシステムです。MES を利用すると、意思決定者は重要なデータを取得して活用し、工場現場の効率向上、生産の最適化を促進できます。  

ISA 95 モデル  

ビジネスプロセスと製造プロセスの統合を定義する ISA-95* モデルでは、MES は機能層 (レベル 3) になります。各レベルは、製造エンタープライズ内の特定の範囲と機能を表します。各レベルの説明は次のとおりです。

• レベル 0 - このレベルでは、工場現場で発生する物理的なプロセスを扱う
• レベル 1 - このレベルでは、基本的な制御機能と監視機能を備えている
• レベル 2 - このレベルでは、レベル 1 の複数のコントローラからデータを収集する監視制御・データ収集 (SCADA) システムに焦点を当てる
• レベル 3 - このレベルには、さまざまなソースからのデータを統合する MES ソフトウェアがある
• レベル 4 - ISA-95 モデルの最高レベルは、企業グループのビジネス計画・管理機能となる

要約すると、ISA-95 モデルは 5 つのレベルからなる階層構造を定義し、各レベルはビジネスプロセスと製造プロセスの統合において特定の役割を果たします。これにより、異なる階層間でのシームレスなコミュニケーションとデータ交換が保証され、組織は生産効率を最適化し、より広範なビジネス目標に合わせて業務を調整できます。 

   

この緊密な統合によって、MES ソフトウェアは製造のデジタル変革の実現に必要な製造現場のオペレーションに関するリアルタイムの可視性と制御を独自に提供できます。 

 

MES ソリューションの導入を検討している場合は、MES ソリューションに含まれるコア機能について以下の説明をご覧ください。 

MES の機能範囲には多様な定義があります。MOM (製造業務管理) という別の略語もあるため、わかりづらく感じることもあるでしょう。ただし 1997 年に MESA (Manufacturing Enterprise Solutions Association) が包括的な MES のコア機能の定義を策定しており、現在でもこの定義が一般に標準とみなされています。 

• 業務管理とスケジューリング: リソース (労働力、材料、機械、ツールなど) の優先順位と可用性に基づいて、ERP からの作業指図の実行を計画し最適化します。  
• 生産ユニットのディスパッチ: ワークフロー、作業工程、材料の取り扱いを通じて ERP からの作業指図の実行を指示します。  
• リソースの割り当てとステータス: スケジュールに従って労働力、材料、機械を割り当てます。作業指図の実行全体にわたり使用状況とステータスを監視し記録します。  
• プロセス管理: プロセスを監視し、製造現場と MES 間のデータの持続的な双方向フローを確保し、自動またはオペレーターの介入によるリアルタイムの調整と修正を可能にします。 
• ドキュメント管理: 正しい製品ドキュメントの使用、安全衛生手順の遵守、証明書の作成などが確実に行われるようにします。 
• 生産追跡と系図: 製造現場での材料の移動や再加工を含め、原材料から完成品に至るまでの製品の完全な履歴を作成します。ロット、バッチ、シリアル番号ごとに追跡して品質要件の準拠を確実にし、製品リコール管理を容易にします。  
• データの収集と保存: さまざまなソース、品質チェック、作業ステータス、労働力、在庫の消費、機械の停止などから自動、半自動、手動でデータを収集できるようにします。製造現場で、リアルタイムのデータを使用して意思決定を行えるようにします。 
• 品質管理: 製品とプロセスの品質を管理します。工程内での品質管理によって品質管理計画を実施し、品質逸脱を追跡して例外を管理します。  
• 労務管理: 従業員のスケジュール、資格、権限を追跡して、労務管理を最適化します。 
• メンテナンス管理: 故障が発生する前に機器の問題を特定し、予防的メンテナンスを計画して、予知保全を行えるようにし、プランナーがアセットとツールの可用性をすぐに確認できるようにします。  
• パフォーマンス分析: 標準 KPI (重要業績評価指標) を使用してパフォーマンスを測定し、過去のデータに基づいてインサイトを提供し、継続的な改善を促進します。  
  
   

Infor MES ソリューションがどう役立つか 

Infor MES* は、以前は Lighthouse Systems (Shopfloor-Online) として知られていたものです。適切な情報を適切なタイミングで製造現場のあらゆるメンバーに届け、企業グループ全体の製造の実行と生産活動の効率と品質を向上させます。詳しくはこちらの Infor MES の製品ページをご覧ください。

 

*ISA-95: ANSI/ISA-95 は一般に ISA-95 と呼ばれ、International Society of Automation が定めた企業システムと制御システム間の自動化インターフェイスの開発に関する国際基準です。