ブログ対談:ワタミのキーパーソンに聞くプロジェクト成功の秘訣 分析担当者編 - 第3回 Birst導入の意義を明確化

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March 14, 2022担当 ルミ 小杉

3回にわたるブログ対談にて、ワタミ株式会社のIT戦略本部 高瀬智将氏に、インフォアジャパンの石川光幸が、SCMプロジェクトの一部である、分析ツールの導入成功の秘訣について、お話を伺います(以下敬称略)。第3回は、これからも続くワタミBirstの終わりなき展望をお聞きしながら、Birst導入におけるアドバイスについてです。

石川:前回は、「分析ダッシュボードを内製化」と題して、ついExcel帳票の焼き直しになりがちなユーザの要求を、どのように期待値コントロールをして、内製化をしてきたかについてお話を伺いました。今回は、今後のBirst展開や導入においてのアドバイスをお伺いしたいと思います。

現在、ワタミでは何名のユーザがBirstを使っていらっしゃいますか?

高瀬:各事業部で2名から3名ですので、全体で10名ほどBirstを利用しています。ただBirstにはレポート機能がありますので、そのレポートを利用しているのは、各センター(工場)を含めると、30名くらいは利用しています。

石川:レポーティングというのは、Birstのダッシュボードを出力した結果をPDF化して見ているということですね。

高瀬:はい、そうです。今はSCM領域がメインですが、今後はお弁当事業や他の事業での利用を拡充していきたいと思っています。

IT戦略本部 高瀬智将氏 (左) ワタミへ入社し十数年。入社当初は店舗勤務、店長を経て、センター(工場)異動。お弁当製造を経験し、現在は本社勤務。サプライチェーンマネージメントシステム構築、COSMOSプロジェクトにおいて、主に分析担当をされました。

石川:今後、高瀬さんのようなBirst忍者(Birst導入手法に準じて分析ソリューションを実装するチームのメンバー。開発を担当することが多い。) が他の会社でも増えることを期待していますが、これからBirst導入を考えている会社様や、導入しているユーザ様に対して、何かアドバイスはありますでしょうか?

高瀬:まず、第1回でも言いましたが、Birstは帳票作成ツールではない」、という点です。最初は社内でこのことをわかってもらえないことが多いので、その点を理解してもらうことは大変なことだと思います。しかしめげずに寄り添って相談しながら、物事を進めていくことが大事だと思います。そして、ユーザストーリー作成などもそうですが、導入の意義を社内に伝えて理解を得ることも大事です。ユーザ側は、これを行うことでどんなメリットを得るのかを理解したいと思うので、実装後の未来像を説明することが大切です。

石川:ということは、導入チームをIT部門から割り当てることはいいけれども、業務出身者をBirst忍者に任命するとより良い、ということですね。

先ほど、今後宅食事業に展開していくとお聞きしましたが、どういったことが活用されるポイントになりますでしょうか?

高瀬:やはり導入の意義を受け入れてもらうように説得していくことがポイントだと思います。今までのExcelとは違いますし、それ以上の結果を得られることを示さないといけないと思います。例えば、Birstを使うと今まで見ていたExcel上の数字がこのように見える、ということを実際にデモしています。

石川:実際、今の段階でExcelに戻してと言われても、もう戻れない状況ですね。

高瀬:はいそうです。以前はデータを集めたデータベースもなかったので、今からExcel運用には戻れませんね。(笑)

石川:少しテクニカルな質問になりますが、Excelを使われていた方が、Birstのスタースキーマ(分析用データモデルのデータウェアハウスで広く採用されている成熟したモデリング手法)、ネットワークBI、ADR、キューブがいらない、などのキーワードや概念を理解するのは難しいと思うのですが、それはいかがだったでしょうか?

高瀬:Excelしか知らない方がすぐに理解することは難しいと思いますが、Microsoft Accessを理解していれば大丈夫だと思いました。基本的なリレーショナルデータベースのテーブルを理解していれば大丈夫ということです。あとは、自分が今持っているデータをどうやって出せるのか?を考えながらADRScripted(データ処理を行うテーブル単位)を作ることがポイントだと思います。自分が思い描いたデータが取り出せると嬉しくなりますし、イメージも描けますので、次につながると思います。

石川:Birst製品の作業内容で一番難しかったことは何でしょうか?

高瀬:2点あります。1つ目は、Birstのビジュアライザーの中の変数を制御することに苦労しました。2つ目は、データの構造が複雑になればなるほど、どこから元データを取得すればいいのかを決めることが難しいです。エラーとなった場合も、エラー内容が英語ですし、エラー内容が本当のエラーと直結していない場合もありますので、慣れることが重要だと思います。

石川:BirstはSaaS製品で、どんどん使い勝手がよくなる進化のイメージですが、そのあたりはいかがでしょうか?

高瀬:そうですね、この2年で自分自身が慣れましたし、製品自体も改善していると思います。

石川:最後の質問になりますが、先ほど”ADR”というキーワードが出てきました。このブログを読まれている皆さまにわかりやすく伝えるにはどのように説明しますか?

高瀬:ADR=Auto Data Refinementの略ですが、いわゆる自動でテーブルセットを作ってくれる仕組みです。

石川:なるほど。C#なども書かずに、どこにリレーションをはるなどを考えて作り上げていくことですね。ということは、やはりBirstは、データの用途をわかっている業務に精通した人が担当者になることがポイントだと再確認しました。Birst忍者はITではなく、業務担当者なのですね。

全3回にわたり、分析担当者であります、高瀬様にお話しをお伺いしました。分析ツールはERPと切っても切り離せない部分が多くあります。実際に導入をご経験されたユーザ様の経験談は、とても有意義なお話です。今日もありがとうございました。

石川光幸 インフォアジャパン株式会社 プロフェッショナルサービスコンサルティングプラクティスマネージャー 20年のERP導入経験を持ち、現在はプロセス製造のお客様に サービスを提供している。 今までにおよそ30社へSCM/ERP/WMSの稼働実績がある。

ワタミグループは1984年に創業、「地球上で一番たくさんのありがとうを集めるグループになろう」という理念のもと、外食・宅食・農業・環境などの事業を展開しています。これらの事業を通じて持続可能な「循環型6次産業モデル」を構築し、環境負荷を低減するRE100宣言、再生可能エネルギー事業にも取り組んでいます。

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