ブログ対談:ワタミのキーパーソンに聞くプロジェクト成功の秘訣 分析担当者編 - 第2回 分析ダッシュボードを内製化

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March 7, 2022担当 ルミ 小杉


3回にわたるブログ対談にて、ワタミ株式会社のIT戦略本部 高瀬智将氏に、インフォアジャパンの石川光幸が、SCMプロジェクトの一部である、分析ツールの導入成功の秘訣について、お話を伺います(以下敬称略)。第2回は、「データ統一化が内製化のしやすさに貢献する」についてです。

石川:前回は、VDB(Value Design Base)、KVI(Key Value Indicator)、ユーザストーリーなど、Birst導入に重要な視点でお話を伺いました。今回は、データ統一化がいかに内製化をしやすくしたかについてお話をお伺いしたいと思います。

初めてのツールであるBirstを覚える秘訣は何でしたでしょうか?まずどんなことをされましたか?

高瀬:もちろん基本的な製品トレーニングは導入フェーズで受けました。それ以降は、できることから取り組みました。例えば、ERP(M3)からデータを取り込んで、ディメンションとメジャーに分けてグラフを作るなどです。わからないことが出てきたら、コンサルタントにお聞きしたり、インフォアのBirstコミュニティに参加したりして、情報収集をしました。

石川:高瀬さんはとても意欲的にインフォアのユーザコミュニティにご参加いただいていましたね!ユーザコミュニティでは、Birstのエキスパートのようなユーザがたくさんいて、情報交換をしていますので、その方々と対等にコミュニケーションしていたのを覚えています。

IT戦略本部 高瀬智将氏 (左) ワタミへ入社し十数年。入社当初は店舗勤務、店長を経て、センター(工場)異動。お弁当製造を経験し、現在は本社勤務。サプライチェーンマネージメントシステム構築、COSMOSプロジェクトにおいて、主に分析担当をされました。

高瀬:はい、そこで開発に役立つ情報をかなり得ることができました。ユーザストーリーに基づいて作りたいダッシュボードがあって、そのための知識を得ました。

石川:さて、昨今データドリブン経営のために、データ分析においても内製化という言葉にフォーカスがあてられています。しかしながら、本当に内製化できるようになった会社は少ないと思います。内製化というと、よくツールが取り上げられますよね。ローコードやノーコードと言われ、プログラミングスキルは必要ないため、ITに精通していない人でもできると思われがちです。しかし、一方でデータ分析には「スキルの壁」があります。データサイエンティストのように、データをどう活用していくか、この部分を考えるスキルをもったユーザが少ないと言われています。しかし高瀬さんは、現場から業務をスタートされ業務側を理解されていますし、今回のCOSMOSプロジェクト(*1)でERPを理解し、データの持ち方なども理解されました。よって、Birstというツールですぐにダッシュボードなど必要なデータを作れるようになっていたのだと思います。

高瀬:そうですね、それは言えると思います。あと、複数のシステムに散在し、かつ統一されていないデータをERP導入に合わせて、統一化したことで、複雑なデータ変換が不要になり、そのおかげでダッシュボードが作りやすくなったのもポイントでした。

石川:本番稼働にいたるまでに、ダッシュボードも含め、おおよそのものは作られたのでしょうか?

高瀬:まさに、いつ本番稼働するのか、がポイントでした。アジャイルアプローチでしたので、これは開発や改善がいつまででも続けられます。そのため、どこで区切りをつけるのかが重要だったと思います。開発をしている環境をユーザに公開はできませんので。

石川:確か、ステアリングコミッティのような、経営層の方々が集まるミーティングで、作り上げたダッシュボードなどお披露目していましたね。そこでコンセンサスを取ったものをユーザ公開し、リリースしていくという形だったわけですね。

高瀬:そうです。特に期限がなければ、作り続けられました(笑)

石川:これってすごいことで、通常開発をベンダーに任せる場合、見積もりがあって、要件があって、契約するまでに時間がかかってしまいます。しかし高瀬さんがご自身で開発をできてしまうので、内製化が確立されていましたね。

高瀬:特に、プログラム言語で作ることでもなく、一般的なSQLの概念をわかっていればよいので、複雑なスキルを必要としませんでした。

石川:今まではExcelで、何でも作れる状態でした。比較してBirstはどうでしたか?

高瀬:1つは、データの持つ量がExcelと比較にならないということですね。処理するパワーが違うという点です。Excelの場合、あるデータをもってきたいときに、Excelファイルから探すところから始まりますが、Birstの場合は、すでにデータベースが存在するので、簡単にデータを取り出せるメリットがあります。もう1つは操作性ですが、ExcelのVlookほどではありませんが、Birstは簡単にテーブルを作成したり、Joinしたりできますので、操作性も生産性も高いと言えます。

石川:付け加えると、ワタミ様はERPからだけではなく、色んなシステムからデータを取得して、DataLakeに集めていますよね。あたかも1つのシステムかのように、Birstで部門を横断して横軸に分析していたと思います。

高瀬:そうです。特に重宝しているのが、BirstはExcelデータも取れることです。 ユーザ側からすると、こういうデータが見たいと思っても、そのデータがシステムにないと諦めてしまいがちなのですが、Excelデータも合わせてデータを見ることができることは、役立っています。

石川:これまでに、いくつくらいのダッシュボードを作られたのですか?

高瀬:1年くらいでダッシュボードスペースを6つ、ダッシュレットを30ほど作成しました。

石川:実際につくられたダッシュボードにはどのようなものがあるのでしょうか?

高瀬:SCM(Supply Chain Management)プロジェクトでは、前日の生産でどれだけ原価を使ったか、予定に対してどれだけ出荷したかを全工場で見られるものを作りました。今は、お弁当事業関連で、受注システムのデータをもとに、顧客が過去どのような注文をしたのか、現在はどのような状況なのか(注文をしているのか、休んでいるのかなど)を集計したり、人事システムと連動して、昨日どのお店で何人働いていたのか、などをダッシュボードにしたりしています。そして、会計プロジェクトが始まっていますので、今後はERP(M3)から会計データを取得し、分析していきます。

石川:ワタミ様は現場に実績収集システム(Factory Track)のタブレットを配布して、ほぼリアルタイムで実績データを見られるようにしましたね。今まで実績収集は紙でしたよね?

高瀬:はい、紙でした。また通常業務があるので、週に何回かまとめて入力していました。よってリアルタイムでは対応できていませんでした。また、データを改善活動に利用するのも手作業のため時間を要していました。

石川:それが、今回システム刷新により、データはリアルタイムに用意されているので、翌日には原価の比較が見えて、素早く手を打てるわけですね。それはすごい効果が出ましたね。スピード感も今までとは大違いです。

高瀬:はい。またこれは構想段階なのですが、過去にお弁当を注文されて、今は注文されていないお客様リストを出して、アクションに繋げることを考えています。

石川:なるほど、これもBirstでデータ分析し、アクションを取られ、結果売上にも繋がるようになるわけですね。ERPだけではなく、他システムからのデータももとに、色々な分析ができるようになりましたね。

石川:今後、将来にわたって、どの領域に展開されるご予定なのでしょうか?

高瀬:目標としているのは、経営層向けに、見たらすぐにどこの事業部のどこが問題なのかを翌日にはわかるようなダッシュボードを作りたいと思います。

石川:それもPCだけではなくスマートフォンなどでどこでも情報を得ることができるようになるのでしょうね。さて、次回は、今後Birst導入を考えていらっしゃるお客様に対してのアドバイスを聞かせていただこうと思います。今日はありがとうございました。

(*1)COSMOS基幹システム刷新 システム導入範囲

ワタミグループは1984年に創業、「地球上で一番たくさんのありがとうを集めるグループになろう」という理念のもと、外食・宅食・農業・環境などの事業を展開しています。これらの事業を通じて持続可能な「循環型6次産業モデル」を構築し、環境負荷を低減するRE100宣言、再生可能エネルギー事業にも取り組んでいます。

石川光幸 インフォアジャパン株式会社 プロフェッショナルサービスコンサルティングプラクティスマネージャー 20年のERP導入経験を持ち、現在はプロセス製造のお客様に サービスを提供している。 今までにおよそ30社へSCM/ERP/WMSの稼働実績がある。

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