ブログ対談:ワタミのキーパーソンに聞くプロジェクト成功の秘訣 分析担当者編 - 第1回 Birst導入

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February 28, 2022担当 ルミ 小杉


3回にわたるブログ対談にて、ワタミ株式会社のIT戦略本部 高瀬智将氏に、インフォアジャパンの石川光幸が、SCMプロジェクトの一部である、分析ツールの導入成功の秘訣について、お話を伺います(以下敬称略)。第1回は、Birst導入のユーザストーリーについてです。


石川:本日はサプライチェーンマネージメントシステム、COSMOSプロジェクトにおいて、分析をご担当されました、高瀬さんにお越しいただいております。高瀬さんは、店舗勤務から始まり、お弁当製造の供給側も経験しました。このように業務に精通した高瀬さんが、このプロジェクトではIT側、業務システムを作る側に立ちました。そのご経験についてお話を伺っていきたいと思います。

もともと新しいシステムが立ち上がる前にも、分析ツールはあったと思います。何かそこでの問題はありましたでしょうか?

高瀬:分析ツールといってもほぼExcelの世界でした。センターからお店への原料輸送、発注管理など、Excelでデータを加工して、数字をグラフ化したりする程度の分析でした。一方で、基幹システムは利用していたものの、その基幹システムのデータを利用することは少なかったです。

IT戦略本部 高瀬 智将 氏 (左) ワタミへ入社し十数年。入社当初は店舗勤務、店長を経て、センター(工場)異動。お弁当製造を経験し、現在は本社勤務。サプライチェーンマネージメントシステム構築、COSMOSプロジェクトにおいて、主に分析担当をされました。


石川:なるほど。業務側のデータをExcelに取り込み、加工するなど、かなりの手間をかけた作業だったわけですね。そうなると、その人に頼らなければ情報を集計できないなど、人に依存する状況でしたね。

高瀬:その通りです。データ収集も、分析方法も、属人化した状況でした。

石川:属人化してしまうと、その方がお休みの場合や退職された場合に、情報が提供できなくなる恐れがあったわけですね。今回、サプライチェーンのシステムをERPに刷新し、業務を一気通貫させることで、分析系も大刷新しようとしました。最初にERPの刷新プロジェクトが開始し、その後分析系(Birst)の導入が始まりましたが、高瀬さんは最初からプロジェクトに参画していませんでしたよね?

高瀬:そうです。プロジェクトキックオフの時はいませんでした。途中で、本社に呼ばれて分析を担当して欲しいと任命されました。

石川:きっと会社(ワタミ)としても高瀬さんの経歴を生かし、高瀬さんにこそ任さられる仕事だと思ったのでしょう。プロジェクトに途中参画してから、どのようにキャッチアップされたのでしょうか?

高瀬:まずは、IPON(インフォアのプロジェクト管理ツール)の議事録をすべて読みました。次に、業務シナリオ(IA-Implementation Accelerator)を読み返し、キャッチアップしました。

石川:プロジェクト状況をキャッチアップするだけでも大変ですが、その上ERPを覚えていかないといけなかったわけです。ERPを覚えることは大変だと言われている中、高瀬さんはどのように工夫して覚えていかれましたか?

高瀬:大変ではありましたが、実務を経験したことが大きな助けになりました。受注業務から発注業務、製造業務など業務シナリオに沿ってERP機能も覚えていきました。約1カ月程度かけて、キャッチアップしました。

石川:1カ月とはかなり短い期間でキャッチアップできましたね。ERPを覚えたあと、すぐにBirstの担当に任命されたのですね。今まではExcelで行っていて非効率だった部分、どのように改善したいかというイメージは持っていたのでしょうか?

高瀬:はい、分析・改善活動は工場で実施していたので、問題意識はありました。

石川:新しいERP(M3)を覚え、新しい分析ツール(Birst)も覚え、自分たちが作りたいものを作るぞと思いきや、インフォアのアプローチ方法はこれまでのベンダーのそれとは違いましたよね。まずVBD(Value Base Design)というコンセプトや、ユーザストーリーなどを理解することから始めました。これに対してはいかがでしたか?

高瀬:工場では成果を測るためにKPI(Key Performance Indicator)の指標をもとに改善活動を行っていたので、違和感はありませんでした。今までも帳票をどう出したいか?というスタートではなかったため、Birstの導入手法には抵抗ありませんでした。

石川:新しいコンセプトで進めるにあたり、ユーザの要求をどのようにまとめられましたか?

高瀬:スタートポイントは「今ある帳票を出したい」ではないと言うことです。ユーザ側からしてみれば今と同じ帳表が出れば良いと言われるのですが、固定化した帳表を作りたいのであれば、それはBirstではなく、インフォアの別製品であるd/EPM(Dynamic Enterprise Performance Management:業績管理)で対応しています。幅広く分析するのであればBirstです。

石川:そうですね。その幅広い分析を明文化するためにユーザストーリーが必要なのですが、ユーザストーリーの作成についてはいかがでしたか?

高瀬:ユーザストーリーは初めてのアプローチでした。イメージ的には、細かい文章を作って繋ぎ合わせていく感じです。

石川:Birstの指標はKVI(Key Value Indicator)、「見るだけではなく、見たことを活動につなげてバリューを出す」というコンセプトですので、ユーザストーリーは重要な位置づけであるわけです。 次回、Birstというツールの話を深堀していこうと思います。ぜひまたお話をお聞かせください。本日はありがとうございました。

石川 光幸 インフォアジャパン株式会社 プロフェッショナルサービスコンサルティングプラクティスマネージャー 20年のERP導入経験を持ち、現在はプロセス製造のお客様に サービスを提供している。 今までにおよそ30社へSCM/ERP/WMSの稼働実績がある。

ワタミグループは1984年に創業、「地球上で一番たくさんのありがとうを集めるグループになろう」という理念のもと、外食・宅食・農業・環境などの事業を展開しています。これらの事業を通じて持続可能な「循環型6次産業モデル」を構築し、環境負荷を低減するRE100宣言、再生可能エネルギー事業にも取り組んでいます。

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