私は子供の頃からF1が大好きです。このF1、最近のロシアのウクライナの侵攻で、米国のチームであるハースが、主要スポンサーであるロシアのウラルカリ社との契約を解除したとの発表がありました。日本ではあまり知られていませんが、ウラルカリ社は、カリ肥料の大手の生産者および輸出業者です。農業の肥料では、チッ素、リン酸、カリの3つの肥料成分と言われています。実は、このカリ飼料は、46%がカナダ、35%がロシア、8%がベラルーシで生産されています、リン酸の元となるりん鉱石も、中国、米国、モロッコ等の上 位4か国で世界の7割以上を産出しています。よって、日本は、輸入に頼っています。今回の紛争では、小麦という穀物の輸入だけでなく、燃料や肥料の高騰など、農業の生産や物流にも大きく影響する可能性が高いです。
そもそも、食品・飲料メーカーでは大豆や小麦など、主要な原材料を輸入で調達するケースが多くあります。上記のような紛争や新型コロナウイルス感染症、そして、
- 世界の人口増や中国やインドを中心とした新興国の経済成長に伴う世界的な食糧需給の構造変化
- 商品市場への投機的な資金の流入
- 為替相場の変動、生産地国での気候変動
- 食肉加工業における家畜の疫病流行
- 水産業における漁獲規制の強化や水揚げ数量の変動
などの、地政学的な影響を受け、原材料価格は不安定さを増している状況にあります。今後の世界の人口増とCO2排出圧力を考えると、その不安定さは減ることは予想しづらいです。
食品・飲料メーカーにおいて、製品を製造するために使用する主たる原材料は生もの等であり鮮度が求められることから、機械製造業などの他の製造業と比較して、製造工程が短く、単純であることが特徴です。しかし、消費者の嗜好の多様化によって、生き残りのため、品目の多様性が求められてきています。このような中、安定調達のための在庫の確保や生産計画の最適化とともに、食品・飲料製品の価格戦略が重要になります。
価格設定は、競争が激しい食品・飲料の分野では、価格を上げ過ぎると競争力を失う可能性があます。また、原価のアップを転嫁しないと赤字や儲からないとなります。需要予測をしながら、競争力があり、かつ、儲かる最適な価格を設定するのは容易なことではありません。
価格設定には、古くから「マークアップ形式」や、「需要志向型価格設定」、「競争志向型価格設定」があります。「マークアップ方式」は、仕入原価に"ある一定の利益率"または"利益額"を加えて価格を設定する方式で、主に小売業者や卸売業者による売価決定方式です。変動する仕入原価に対応しやすいですが、売り手が強い場合に有効です。食品・飲料では買い手が強い場合が多いので、市場開拓しながらの「需要志向型価格設定」、「競争志向型価格設定」もオプションになるかと思います。ただ、原材料の価格が不安定な中、市場の需要や競争力を基盤した価格も決めにくい状況です。ずれの原材料価格の設定方法を選択するにしても、変動する原価をうまく管理することがベースラインになります。
このような不安定な中、価格シュミュレーションがますます重要になり、サプライチェーンプランニングからPLMを統合したERPを利用して、実施するのが有効な手段になります。InforのERPでは、原価などから標準価格をモデルで数種類作りだし、販売価格や課金価格などをシュミュレーションできます。
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